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【随筆】触

白い吐息が溶け込む師走の空気はピンと張り詰め、車のライトや看板の燈をキラキラと輝かせた。

僕の掌は人より温かいんだよ。心は冷たいのかな、突如思いついた変な誘い文句で君の右手を誘き出す。

それは雀を捕まえようと庭に餌を置き、つっかえ棒をして籠を被せ棒に結び付けられた凧糸を息を殺してじっと握りしめた少年時代を思させた。

毛糸の手袋を外した君の左手は僕の右手に無防備に触れた。

僕の掌の熱を無邪気に確かめる君の白くて長い指。僕はここぞと思いぐいと凧糸を引っ張り君の指を捕まえた。マシュマロの様な君の指の一本一本を掌の中に感じる。

でも君の尻は汚かった。

僕の目を覗き込む君の瞳は一昼夜磨き上げたビー玉を丁寧に埋め込んだ様にクリクリと大きく、外気に乾かされてしまわないかと心配になった。

でも君の尻は汚かった。

あまりの寒さに僕はマスクの中で鼻水を垂れ流していた。君は鼻水を垂らすまいとズルズルと音を立てていた。

それでも君のそんな仕草のひとつひとつが世界中の女の子の代表とでも言う様に僕にはとても可愛く思えた。

でも君の尻は汚かった。