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【小説】山道 01

日中に降り続いた雨の影響でねっとりと湿り気を帯びた生乾きの道路を前照灯で照らしながら車は鬱蒼とした杉林の間を進んだ。

 

「タバコ持ってる?」祐二がヒデに言った。

「はい」ヒデはスタジャンの内ポケットからアカマルのソフトパッケージを取り出すと一本引き抜き後部座席から身を乗り出すと運転席の祐司にタバコを手渡した。

 

助手席の隼人はパワーウインドウのボタンに手をかけた。タバコの煙はどうも好きになれない。あんなに臭いものを身体に取り込むというヒデが理解できない。

 

それは何もヒデだけではなくタバコを吸う人間全員に向けられた隼人の公平な目線だった。

 

バッテリーの影響かパワーウインドウは力不足で非常にゆっくりとした動作で下がった。

 

付け入る隙を見つけたかのように12月の冷えた外気が車内に流れ込み三人はアウターのジップを首元まで上げた。

 

One love One heartボブマーリーのAll in oneが流れる。隼人はボリュームを上げた。